Part9.「未来へ…」


 再び、「天宮図」を見てもらう。



何故、各宮が「二重円」になっているか…気がつかれていただろうか?

 実は「出生天宮図」として使用するのは、内側の円なのである。それじゃあ外側の円は?

…今日、即ち「採譜日」(CastingDate)…のチャートを拾うのだ。つまり…

 「進運法」〈Transit)という。出生日以来、現実に進行して行く星の動きを追いかける事で

刻々に変化していく運勢を捉えていく、「細密占星術」の真髄みたいなテクニックなのである。

 …が、それならば、別に「今日」でなくとも良いようなものだが…ここで、「今日」に拘るのが

私流…である。つまり「今日」占ってもらおう…と想った時点で、既に運勢は変っているのだ。

云ってみれば、ミステリアスな力を介在させた事による「不確定性原理」が作用するのである。

結局それが、「己自身を占ってはならない」という「魔道師の黄金律」の依って来たるところでも

ある訳なのだが… つまり、そういう意味の「今日」である。「今日という日の星の配置は、この

人間にどのような作用をもたらすのか…」を追求する訳だ。更に奥深い事までいってしまえば、

「この日、占われた結果を告げられる事が、この人間の運勢をどう左右するのか…」という、

殆んど「解答不能」のような困惑がついて回るのである。これもまた、占星術に特有の「連鎖」

という側面ではあるのだが…



…かなり、話がそれた。つまりここでは、たとえば「出生時の守護星」に対して、現在の星が成す

座相をチェックしたりして、「今」がその人にとってどんな時期なのかを読み取ることとなる。勿論、

全ての組合せをチェックするのだ。だが…そうした中で「ひっかかる」要素があるかどうか、それが

読み取っていく手掛かりとなる。そして…話はそれに留まらない。先へ進んで、今より更に未来…

特定の座相が構成される時点をチェックして、ある種「要注意期間」として指摘することも可能だ。

…これら複雑にからみ合う星の動きを読み取っていく事が、云ってみれば「Palestina 流」占星術

の根幹である。勿論、このへんの「方法」が…各個、占星術師による「自家薬籠中」のものであり、

説明を始めると、このへんだけで、2、3回分は十分に話せる。のだが…



ここで切ろう。次回いよいよ「最終話」である。私にとって「占星術」とは…

「以下次号」。