夢の扉が開く時…
[ミクの日感謝祭 39’sGivingDay 初音ミク・ソロコンサート 〜こんばんは、初音ミクです。〜 ]
…客電が落ち、照らし出されたミラーボールのきらめきをバックに、ミクのアカペラが流れ始める…「ハジメテノオト」。…それに変って重低音のリズムが響き
出すとコンサートのイントロダクション「Project Diva desu」。そして…
Supercellの名曲「ワールドイズマイン」で、ついにステージ中央、せり上がるようにミクが全身を現わす。…この時点ではまだそれほど驚いてはいな
かった、昨年夏のミクフェスの記録など見ていたからね。だが次第に…あの時よりはるかに鮮明なミクの立ち姿に目も心も奪われていく。何より、その質感が只
事でなく、更にくっきりと影を落とすその肢体全てで「ヴァーチャルから現実に」はみだしてきたミクがそこにいた。観衆の大合唱「世界で一番、オ・ヒ・メ・
サ・マ!…」って残響もなまなましく、その世界に引き込まれていく…。最初の衝撃も収まらぬうちに「えれくとりっく・えんじぇぅ」「サウンド」と曲は続
き…
そして続くイントロ開始とともに大歓声みんなわかってる、「1・2・3・4ッ!…」カウントの大合唱に続いて、ここまでよりも一層にいきいきとミクが踊り
始める…「恋スル
VOC@LOID」。…この曲、歌詞がスゴい…まるでミクが自身の意思でもって歌っているかのようだ。
♪私が貴方の許へきた日をどうかどうか忘れないでいて欲しいの〜
♪私の事見つめる貴方が嬉しそうだから、チョッピリ恥ずかしいけど歌を歌うよ〜
…これにはヤラレた、ミクの健気さに触れて思わず目頭が熱くなる…冗談ではない…
突然…ステージ上に現れた白と緑のバルーン…ミクの「やっほ〜…?」というやや間の抜けたようなコールに観衆がレスポンスする、その度にバルーンが膨れ上
がり、3度目のコールでバルーンが弾けるとそこにはバルーンと同じ柄のビキニを着てセミヌード姿のミクが立っていた。…ハッキリいって「毒気抜かれた」。
バストもヒップも大した事無いがウエストはくびれてるし手足長いし…でも全く色気のないミクにw「Dear cocoa girls」。
…もとの衣装に戻ったミクが、イントロに合わせてカキンカキンと音が聞こえてきそうな素早いポージングを決める。勿論、観衆は大声援だ。
「StargazoR」…語りかけのようにはじまり、いつのまにかせつなく、かきくどくように歌い上げられたこのナンバーが終わると、一度ステージから姿
を消したミクが再び現れて…「こんばんは、初音ミクです」挨拶とともにぺこりお辞儀をしてみせた。
続くナンバーのイントロで「ひ・み・つ…」パチン!とウインクして小首をかしげるミク…その仕種の可愛さに見惚れる間も無く…「The secret
garden」…もうこの頃には完全に、不思議な現実と非現実の狭間にどっぷりはまりこんでいた…
ステージでは最初のメドレーがはじまる。ブロードウェイのショーガール見たようなシルクハットに燕尾服、その下は白いベストにレオタード姿のミクがス
テップを踏みながら軽妙なスキャットヴォーカルを歌いだす…「ミラクルペイント」…
ここからはミクの「早着替え」だ。スペーススーツのような衣装で「innocence」、海賊船の船長のようないでたちで「ハト」(真っ赤なジャケット
が目にしみる)、ネコミミと肉球ミトン装着で「みくみく菌にご注意♪」、赤いフリフリワンピに小悪魔の羽をつけて「ぽっぴっぽ〜」(「ぴ
〜」と歌いながらステージを8の字に駆け回るミク…3Dの威力を見せつける!)、地味目のジャンスカに着替えて「サヨナラ・グッバイ」…そして最初の衣装
に戻って「ミラクルペイント」のリプリース…最後はスキャットヴォーカルをくちずさみながらクルリ廻って決めポーズ!
ミクの作画造形にはAチームBチームがあるそうだ。ここから2曲「ロミオとシンデレラ」
「Dear」はBチームの担当で…そもそも作画の手法が違うんだそうだ。何がどう違うのかというと…これが‘スーパーポリゴン’というのかしらね髪の毛の
質感とかここまでと全然違うし、ミクの動きも…なにかゲームのキャラっぽいよね。だけど、この2曲にはこのミクが似合う、なにか切なさを内に秘めた感じで
せつせつと歌い上げてくれた… こんなラブソングを歌われてはそのリアルさにますますのめりこんで行ってしまう…
「いっくよ〜…」ミクの掛け声ではじまるメドレーその2… 「裏表ラバーズ」ヴォーカロイドの真骨
頂…生身の女の子では歌うのも難しそうな高速フレーズを楽々こなし、そして…「こ〜こで〜、メンバー紹介!…」バックバンドを順番に呼び上げるコンサー
トではお馴染みのシーンをやってみせると、キーボード奏者の「…そしてヴォーカルは初音ミク!」に応えてポーズを決めてみせて喝采を浴びた…そのままブ
リッジで「パズル」「VOICE」「1/6」と歌い上げ、最後は決めポーズのままステージに沈み込むように退場…プログラミングされた動きは殆んど完璧な
舞台演出だ…
ここで突然のゲスト登場は「巡音ルカ」…年齢設定が二十歳とミクよりも「お姉さん」なだけあって、 その肢体は結構セクシーw。「星屑ユートピア」…曲に合わせて歌い踊る彼女のオッパイがかすかに揺れる芸の細かさw。…続く名曲「ダブルラリアット」はイ ントロ無しの歌いだしから大歓声。注目はステージ一杯に歌い踊るルカの姿と…多分Pアゴアニキ氏と思われるアフロヘアーのキーボード奏者が目一杯乗りまく るその姿w… 更にこれも名曲「Just Be Friends」とつなげ… そして、これが見たかったミクとのデュエット「magnet」!!ステージ 上で踊り絡み合う彼女たちから目が離せない…夢のようなコラボレーションに、曲が終わった瞬間は殆んど放心状態だった。…
…暗転したステージに白く浮かび上がったのは、ウェディングドレス風の衣装をまとったミク… せつ
なすぎるバラード「Alice」を語りかけた後、そのまま名曲「あなたの歌姫」…再びヴォーカロイドとしての立ち位置から語りかけるミク…クラシックバレ
エ風のステップが何かより切なさを駆り立てる。…これ以上、ミクとの距離を詰めてはならない…そんな想いが寄せてくるのは、もう既にミクが心中にその居場
所を作ってしまったから?…どうしようもない思いに苛まれかけた時…! ステージには黒いビニルレザーのタンクトップとショートパンツというパンクファッ
ションに身を包んだミクが立っていた。白い脇腹に貼られた黒い★マークのステッカー…が伝えてきたのはゾクッ…となるような蠱惑だった。だが、それを打ち
消すように奇妙な違和感が不安が漂い出す…ミクが動かない!? ステージ中央にたちすくんだままハードな曲が進む「moon」…そしてミクが狂い出す…
「初音ミクの消失」不自然な姿勢のままフリーズしたミクの画像がバシッ…と消される瞬間に覚えたのは多分「絶望」…
白光の中から現れたのは、もう一人のゲスト「鏡音リン」…すぐさまイエローのサイリウムが瞬きだ
す、切り替え早っ…w。「炉心融解」「ココロ」と2曲続け、…赤くステージを染めた照明と共に始まるイントロで歓声が上がる…リンの背後からスルリと現れ
た「鏡音レン」とのデュエットは勿論「右肩の蝶」。兄妹…の設定で良かったんだよね? レン君ハードなナンバーノリノリで息の合ったダンスを見せる二人、
そしてエンディング…ステージに消えたレンと入れ替わるようにミクがせりあがってくると同時にイントロ開始…勿論大歓声に迎えられたのは名曲
「Promise」。リンとミクのデュエットといったらこれが無ければ話にならぬ。…アニメ主題歌みたい…とは誰もが抱く感想だが、更に突っ込んで「平成
ガン〇ム新作のOPだよ…」といったら絶対疑われずに通るんじゃないか? 大体歌詞もそんな感じだしw。
…静かに始まるイントロの中、ポツンと現れたミクが告げる「…そろそろ、お別れです…」。え〜っ?…という観客の声に動じる事もなく…「from Y
to Y」。エンディングに向かって、別れをテーマにした「サイハテ」「ストロボナイツ」と曲は続き…名曲「spica」に至って、観客を煽る煽るw。勿
論…ミクが見ている筈がないのだが、1階2階全方向に向かって手を振り、そして「…spica!」ステージ中央でピョンとジャンプしたと同時にアルミテー
プ弾が炸裂して大歓声が巻き起こる。盛り上げるだけ盛り上げて曲の終わりに再びジャンプを決めると、手を振りながら「ありがとう!…」そのままくるりと背
を向けてステージ後方、光の中に消えていくミク…当然始まるアンコールの嵐に応えてミク再登場の「愛言葉」そして本当のフィナーレはこれまた
Supercellの名曲「メルト」…。
気がつけば2時間がアッという間に経過していたのが信じられない、こんなに内容の濃いコンサートであったとは。…それにしても、観客の「三本締め」で終
わるコンサートなんて滅多にあるもんじゃないぞw
(2010.3.9 →→→ 2010.11.11)