かかしは くる日もくる日も そこに立っていた。

足がないから どこへも行けない。

ときどきやってくる カラスたちに いつも聞いた。


ヨノナカハ タノシイ トコロ?


カラスたちは よそで見てきたものを かかしに話した。

世の中は とっても 広いこと。

街に行くと 人や車で いっぱいなこと。

大きな かいぶつのような 乗り物が飛んでいたり

海がどんなに広いか などなど いろいろ聞いた。

イッテミタイナ…


かかしは 一度でいいから 世の中を見てみたかった。

海がどのくらい 大きな水たまりなのか。

この田んぼより 大きいのか…


イクラナンデモ ソレハナイカ

ヨノナカハ ドンナ トコロダロ…