すきまのないほどの人ごみ 車がびゅんびゅん走りまわり
そうぞうしい音 息苦しい空気。
空を見上げると カラスの言っていた あの大きなかいぶつが
すごい音をたてて 飛んでいた。
何度も人とぶつかり そのたびに恐い目で にらまれた。
かかしは 泣きたくなってきた。
ふと 足もとに カブトムシのおもちゃが ころがっていた。
コンナトコロニ イタラ フマレチャウヨ
それをひろい上げた時…
あの子がとった〜!
ママ! あの子がとった〜!
どろぼう!
かかしは わけもわからず逃げた。
そして 道路に飛び出した瞬間 ドーン!
車にあたって はね飛ばされた。