かかしは 海へ行くために 電車に乗った。

カラスから 海は遠いところ と聞いていた。

電車はきっと 遠いところへ 行くためのものだ。


海が どのくらい大きな 水たまりなのか 

この目で 確かめてやろうと思った。


アメンボモ ミズスマシモ イッパイ イルノカナ…


電車が駅に止まるたびに 大勢の人が乗ってくる。

稲刈りの季節でもないのに みんな忙しそうだ。 


電車の中は ぎゅんぎゅんになってきて 

かかしは ドアに押しつけられ 息苦しくなってきた。

窓の外の景色は だんだんどんよりしてきて

大きな建物が ここぞせましと立ち並ぶ。

かかしは なんとなく 不安になってきた。


ウミハ ドコカナ…