「卵巣がん転移手術5年後生存率20%鍼灸症例の5年後」

山田鑑照 医道の日本・第694(平成224月号)(一部改)

 

1.はじめに

 最近、全日本鍼灸学会学術大会において、がんは鍼灸治療の禁忌症では必ずしもないという議論がなされてきている。鍼灸治療は全身に転移した末期がんに対しては疼痛緩和ケアとして意義があるが、これによってがんを治癒させることは難しい。がん摘出手術やレントゲン照射・抗がん剤が功を奏した場合に鍼灸治療が残った小さながんを縮小消滅させたり再発を予防できる可能性があると思われる。筆者は機能解剖学的診断に基づく鍼灸治療によりがん再発の予防に効果があったと考えられる一症例を経験したので報告する。

2.方法

(1)患者:
  
主婦(39)初診:平成17522日。身長155cm 体重37.2kgBMI15.5(標準体重52.9kg)   血圧 85/50

(2)主訴:
 がん摘出手術による腸閉塞によるひどい嘔吐・腹痛。がんの再発が心配。肩こり・腰痛はそれほどない。

(3)現病歴
1)平成163月に地元の病院にて卵巣がん試験摘出手術。同年8月にがんセンターにて抗がん剤治療4回後に卵巣がん転移摘出手術(肝臓の裏や腸など20カ所以上の転移)、術後に抗がん剤治療4回。5年後生存率20%。腹水あり。

2)がんのステージ:VC20カ所以上の転移が全て摘出できたとは云えず、抗がん剤が効きにくいがん肉腫でもあり、この種の患者さんで2年後に再発しなかった人はいない、必ず再発すると主治医から云われた。なお、再発予防の投薬はなく、毎月血液検査のためにがんセンターに通う。

3)家族歴:父親が患者さん3才のときに胃がんで死亡、母親が乳がん。

4)特記事項
@転移摘出手術による腸癒着のために月に12回位の腸閉塞を起こし、はげしい嘔吐・腹痛を来す。普通の生活はできるが、腸閉塞になると20回くらい嘔吐し、激しい腹痛に耐えられず救急車を呼び入院することもしばしばあった。

Aリンパ球免疫療法を検討したが高額(約160万円)であり、執刀医からは効果は不明と云われたので何年か継続するつもりで鍼灸治療を選んだ。

(4)機能解剖学的所見
1)姿勢傾向と問題筋群
  実施した運動検査法は徐々にクリアーされ、治療開始から3年を経て全身的に機能解剖学的改善がみられた。主な運動検査法(動診)とそれに関与する主な筋は以下の通り。
@頭右傾き:右胸鎖乳突筋、右斜角筋、右僧帽筋上部線維、左頭板状筋、左頭半棘筋。

A腰反り気味で前傾しお腹を曲げ、体幹右傾き:左右脊柱起立筋、腰方形筋・腹直筋・側腹筋(すべて左右特に右)。

B左脚上脚組、右殿部で座る:右大殿筋、右中殿筋、左梨状筋、左外側広筋、左縫工筋、左右ハムストリング(特に左)。

C右脚軸:右大腿四頭筋、右前脛骨筋、右長指伸筋、右下腿三頭筋。

D椅子に座っている時に左方にあるテレビを長時間見ていたり、右脚を上での脚組もあるが、左脚を上にして脚を組んだりすることが多い。椅子に足を上げて膝を抱え込むようなことも多い。立位では基本的に頭右傾き、体幹右傾き、右脚軸で行動することが多い。バックを右肩に掛ける事が多い(右大胸筋、右肩甲挙筋、右菱形筋、右上腕筋、右三角筋前部線維)。

2)身体の柔軟性
@ 運動器には自覚的愁訴はない。腹部・腰部の筋は板様にゴリゴリで、筆者が今まで診てきた女性の患者さんの中では一番固い身体をして いると感じられた。このような硬い身体とがんとの関係があるように思われた。

A 小学校の時、患者さんだけが立位で指と床が着かなかった。クラスで指が床に着かなかったのは本人のみ。その頃以来、立位で指が床に着 いたことはなかった。  

B 坐位閉脚伸展すると後ろに倒れる。しかし、坐位で足底を会わせて足を引き、体前傾させると頭が床に着く。

C 仰臥位で右膝を左胸につけると抵抗があり、右殿部の硬結が診られ右中殿筋の拘縮がある。これは右脚軸によることと、右脚上の脚組み重なり中殿筋拘縮が現れたと思われる。    

D 本人は身体が硬いと感じているが、一部の筋はかなり柔軟性があり、一部の筋はかなり短縮して硬結を呈している。  

(5)鍼灸治療
1)治療目的

問題の筋を緩めて全身の筋に同じような柔軟性を持たせること。要穴への鍼灸刺激により腹腔・骨盤内臓の血液循環を改善し免疫状態を活性化して腸閉塞関連症状並びにがんの再発を予防する。

2)治療方法   
@ 圧刺激(触診+緩解刺激)、鍼刺激(NEOディスポ振:山正、低周波通電)、熱刺激(電子温灸器CS-2000:カナケン、ソフコンMXA-8000Zen Iryoki、せんねん灸ソフト:SENEFA)による3種類の侵害刺激バランスを考えドーゼを決める。

A  診断した筋中に届く深さへ刺鍼する。大殿筋・中殿筋・股関節外旋筋群へは刺鍼は60ミリ20号ステンレス鍼(23番)を用い、その他の診断筋群へは30ミリ16号または18号ステンレス鍼(11番または2番)を使用する。腹部腰部刺鍼穴に電子温灸器・低周波通電・せんねん灸を使用した。

3)治療部位
診断した問題の筋群(起始部・筋腹・停止部)、頚部(天柱、風池、完骨)、腹部募穴(巨闕、期門、中?、天枢、関元)背部兪穴(肝兪、脾兪、腎兪、大腸兪、次?)、下肢(足三里、承筋、三陰交)など。

3.結果

(1)腸閉塞発症の推移 
 17年は6回発症。同年9月の腸閉塞は嘔吐20回を超え、お腹が痛く救急車で数日入院するなど症状が重篤であった。186回、196回と腸閉塞発症回数は変わらないが症状は軽症になった。193月発症の腸閉塞は家族でディズニーシーへ行く前日夜準備中に起き、1回吐いただけで翌日から3日間全く楽しく遊ぶことができた。

 20年と21年は各々2回発症したものの、坐薬で押さえられたり、泡のみ嘔吐したり腹痛のみを呈すようになった。1)特記事項鍼灸治療開始当初は食後すぐに発症し食物アレルギーを心配されたが、やがて、多めに食べただけでは発症しなくなり、早朝、食間に発症し嘔吐回数、腹痛も軽減するようになった。

(2)体重の推移
 鍼灸治療開始当初は37.2kgであったが、1年を経過し35.4kgにまで低下した。腸閉塞発症の回数や症状の改善がみられたので、体重減による体力の低下を考えて、本人の許せる範囲で食事量を増やしてもらうように指導した。指導後1年で40kgに達し、その後1年は40kg前後を維持、指導後3年目の20年には42kgに達し、以降42kg43kgを維持(図1)。

          yrz1.jpga図1 体重の推移図1 体重の         推移図1 体重の推移

1)特記事項
@当初はがん対策としてもっと厳格にゲルソン療法や無農薬・自然食をしっかりやらないといけないと考えていたので体重が減少した。

A大量の人参ジュースを飲み、手足の皮膚がカロチン色を呈していた。

B ガンに餌をやりたくないと明確に考えて食事量を制限した。術後発症するようになった腸閉塞が食後に起きており、多く食べないようにしないといけないと食物制限を行い、体重減少が進んだ。

(3)腫瘍マーカー(CA125)の推移
 必ず再発すると云われていた術後2年(18年、鍼灸治療開始後1年)においてマーカーは8前後を維持。術後3年(19年)において9.9までに上昇したが、術後5年に至るまで7前後を維持し(図2)がんの再発はない。

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         y ayama y図2-1 鍼灸治療開始前の腫瘍マーカーの推移

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図2-2開始以降のーの推 図2-2 鍼灸治療開始以降の腫瘍マーカーの推移

1)特記事項
@    3年(19年)、同医師により同時期に卵巣がん手術をした5年後生存率40%、70%、90%であった3人の患者仲間が相次いで再発した。本人も同年10月、マーカーが9.9まで上がったが、201月に7.9までに下がり、以降安定している。

A結局同時期同じがんで同じ医師に執刀してもらった患者仲間の内で5年後生存率が一番低い人が再発した患者仲間を見舞うことになった。70%の患者仲間が2111月に再発悪化で逝去。

(4)血球数の推移  
 赤血球数は鍼灸治療開始時304万個であったものが21年には370万個(22%増)に達し、はじめて基準下限値に達した(図3)。白血球数は2,550個から波状的に増加し4年後の215月に4,440個(74%増)に達した。以降同年中基準下限値を超えるようになった(図4)。  

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                           図3 赤血球の推移 

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                         図4 白血球の推移

 186月のリンパ球比率(図5)により計算したリンパ球数は1,134個。以降白血球と同様に動揺が激しく波状的に増加し、215月に1,794個(58%増)になり同年中は基準下限値を超えることが多くなった(図6)。217月に赤血球・白血球数が揃って基準値に入った。血球数は鍼灸治療3年を経て改善傾向が明らかになった。

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               図5 リンパ球比率の推移

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  図6 リンパ球数の推図6 リンパン   パ図6 リンパ球の推移

(5)機能解剖学的改善と運動検査法 
 実施した運動検査法は徐々にクリアーされ、3年を経て全身的に機能解剖学的改善がみられた。主な運動検査法(動診)と関与する主な筋は以下の通り。    

1)  鍼灸治療当初からできた運動検査法(関与する主な筋)
@ 坐位膝屈曲足底会わせ頭足(図7)(長内転筋、脊柱起立筋)

A 仰臥位膝屈曲膝開き(図8)(長内転筋、大内転筋)

B 坐位後転ストレッチ(図9)(大腿四頭筋、前脛骨筋、長指伸筋)


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図7 坐位  図7 坐位膝屈曲足底会わせ頭足  hhh   h図8仰臥位膝屈曲膝開き

 図9 坐位後転ストレッチ図9    坐 rz9
           図9 坐後転トレ   ッ図9  坐位後転ストレッチ

2)鍼灸治療で改善された主な運動検査法(関与する主な筋)
@仰臥位右膝左胸(図10):当初は右膝が左胸に着かなかったが、1年程で右中殿筋・大殿筋の緩解とともに着くようになった。(右中殿筋、右大殿筋、右脊柱起立筋)

A腹臥位踵ベッド(図11):治療開始当初は特に左が着きにくかった。2年程で左右同じに踵がベッドに着くようになった。(中殿筋、大腿四頭筋、縫工筋)

B ストレッチングボード指床:治療開始後1年を経過して始めた。開始当初は最上段(30°)では立っているのがやっとであったが、2年程で両手指先が床に着くようになった。(下腿三頭筋、ハムストリング、脊柱起立筋)

C 立位前屈頭膝(携帯折れ)(図12):当初は指が床に着きたいと始めたが2年目で着くようになった。その後、フィットネス仲間が簡単にできる携帯折れ(立位前屈頭膝)が出来るようになりたいとチャレンジをして1年程で出来るようになった。(下腿三頭筋、ハムストリング、脊柱起立筋)

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         図10 仰臥位右膝左胸            図11 腹臥位踵ベッド

              rz12            
                    図12 立位前屈頭膝(携帯折れ)

Dラセーグ膝胸(図13)当初は80°くらいであったが、3年程で左右とも膝伸展で膝と胸が着くようになった。このとき僅かに右膝が曲がり気味になる。(ハムストリング、脊柱起立筋)

E坐位左脚崩し肘踵(図14):当初は特に左脚崩しは肘が踵に着きにくかった。やがて、右はしっかりと着くようになり、左が3年半程で僅かに着きにくい感じになった。(縫工筋、脊柱起立筋、腰方形筋、側腹筋)

F坐位後転膝床(ダンゴムシ)(図15):当初はかろうじて膝が頭に着く程度であったが、3年半程で耳を膝で挟み、膝が床まで数pにまで改善。状態の良い時で少し介助すると膝が床に着くことができる。(上部胸椎・胸椎横突棘筋)

G 坐位膝伸展前屈頭床(図16)当初は坐位にて膝伸展し脚を前に出すと後ろに仰け反りそうになっていたが、3年程で少し膝が浮くが自力で頭が床に着くようになったが、4年目に入ってもハムストリングが少し張り、右膝が左膝より浮く。(ハムストリング)
 
     rz13    rz14
         図13 ラセーグ膝胸             図14 坐位左脚崩し肘踵

     rz15    rz16           
     図15 坐位後転膝床(ダンゴムシ)     図16 坐位膝伸展前屈頭床


4.考察

1)  鍼灸刺激による血球数の推移 
 本症例において赤血球・白血球数については4年余、リンパ球数については3年余に及ぶ検査結果集計によると、大きな動揺を示しながら推移し、鍼灸治療を開始して3年以降上昇をみている。鍼灸治療による血球数の推移を観察する場合には長期間観察する必要があるように思われた。本患者さんは若い頃から血球数が少なく、217月のように赤血球数と白血球数が同時に基準値に入ったことはなかったとのことであった。原(1)の報告によると1年余に及ぶ施灸により赤血球数や白血球数は動揺を示しながらも増加するとしており、長期間の鍼灸刺激により人体の造血機能が活性化することが考えられる。 

2)鍼灸刺激が免疫機能に及ぼす機序
 今井(2)によれば、足への47℃の熱刺激が足皮下の知覚神経から神経伝達物質であるSubstance-PSP)やCalcitonin-Gene-Related-Peptaide(CGRP)を瞬時に放出させ、それを潅流検出できるとしている。また、Jonnson(3)によれば、足への熱刺激により放出されたSPが後肢リンパ管において瞬時に検出されるとしている。Moore(4)によれば、SPを膝窩リンパ節輸入管に注入すると、SPはリンパ球を芽球化させ多くのリンパ球をリンパ節輸出管から放出させる。このピークは一週間に及ぶとしている。 SPは免疫を活性化し、CGRPは免疫を抑制すると報告されている。これらのことより皮膚への侵害刺激としての鍼灸刺激が知覚神経終末からSPCGRPを放出させて、局所ならびに全身の免疫状態を低下していれば活性化し、亢進しておれば抑制して免疫状態を中庸に維持するように作用すると考えられる(5)(6)

 健康であっても人体において通常がん細胞が増殖し、これを免疫細胞が処理をしていると云われている。がんが大きくなるということは、何らかの理由により免疫細胞のがん細胞処理能力が低下し通常は処理できるがん細胞を処理できなくなり、がんが増殖を始めることによりがんが大きくなったと考えられている。鍼灸刺激はこの人体の持つ免疫力を活性化し、小さながんを処理できると考えられる。摘出手術によって取り残された小さながんは対処できると考えられる。

3)鍼灸刺激が臓器の血液循環・免疫機能を改善する機序
体表の要穴特に兪穴や募穴への鍼灸刺激が軸索反射の伝搬により内臓の血管の血管透過性並びに拡張性を亢進し、血液循環を改善し、放出されたSP並びにCGRPにより免疫状態が改善する機序が考えられる(7)

4)  鍼灸刺激が筋を緩解させる機序
 筋は疲労するとアクチンフィラメントとミオシンフィラメントが結合し、収縮の残遺により筋が短縮すると云われている。筋中への鍼灸刺激や圧刺激により筋中血管と伴走するSP並びにCGRP含有知覚神経線維を刺激し、これらを放出させる。筋中血管の透過性が亢進し拡張することにより筋細胞に栄養を行き渡らせる。栄養を取り込んだ筋細胞はATPを産生してアクチンフィラメントとミオシンフィラメントの結合を解消して筋が緩解する。筋の短縮硬化は深部感覚神経を介して自律神経機能に影響を及ぼすと云われている。筋の緩解は身体が楽になるのみならず、内臓機能にも良い影響を与えるものと思われる。

5)今後の機能解剖学的課題
 概ね全ての運動検査法をクリアーしているが、坐位後転膝床(ダンゴムシ)で膝が床に自力で着きにくいことから頸椎・上部胸椎横突棘筋、上部脊柱起立筋のより柔軟性を獲得することが求められる。基本的に顎が少し出て、頭が右傾きの姿勢をとる傾向があり、頭半棘筋関連の筋の緩解と顎を引き頭を傾けないようにしてもらう指導を続けることが必要。

 鍼灸治療開始当初は坐位で脚を前に出すと後ろにのけぞりそうになる状態であったが、やがて多少膝が浮くものの自力で頭が床に着くようになった。脚を組む傾向が改善されつつもハムストリングが充分に柔軟性を獲得していないために膝関節伸展に伴い大腿後側の痛みを現在も感じている。ハムストリングの充分な緩解が最後に残った課題といえる。

6)今後の鍼灸治療について
 鍼灸治療を開始して5年を経過して昨年の10月までに172回の治療を重ねている。鍼灸治療を開始して3年を前後にして機能解剖学的改善がみられ、また、血球数も3年を経て上昇傾向を示して安定してきた。しかし、日々の生活でやむを得ない理由でスケジュールが混でくると頭右傾き、体幹右傾き、右脚軸傾向が出てくる。そうして、腸閉塞の発症に結びつくことが多い。日常生活の改善指導とともに、全身のバランスの良い機能解剖学的改善を指標としてがんの再発に対処して行きたい。

5.結語

 卵巣がん転移手術5年後生存率20%症例に対し機能解剖学的診断に基づく鍼灸治療を4年間行った。家族の理解もあり2110月末の時点で通算172回の治療を重ね以下の結果をみた。

1)執刀医から5年後生存率20%の患者さんで2年後に必ず再発すると明言され、転移した卵巣がんが抗ガン剤の効きにくい「ガン肉腫」であった。3年後に腫瘍マーカーが一時10近くに上昇したが、5年後に腫瘍マーカーも7前後で安定し、再発をみていない。

(2)3年後に同時期、同医師に執刀された同病の知り合いの患者さんで本患者さんよりも5年後生存率が高い40%、70%、90%の患者さんが再発し、生存率の一番低い本患者さんだけが再発していない。

(3)鍼灸治療以前月12回発症した激しい腹痛嘔吐を呈する腸閉塞が、鍼灸治療開始して1〜2年は年6回になり3年後から年2回となり随伴症状もかなり軽減した。

(4)低かった赤血球数、白血球数、リンパ球数が増加し正常域に入るなど増加傾向をみた。

(5)機能解剖学的改善が進み、小学校時代から着いたことがなかった立位で指と床が着くようになったなど、全身筋群がバランス良く柔軟性を獲得した。これらの経過より機能解剖学的診断に基づく鍼灸治療が腸閉塞随伴症状の改善とがん再発の予防並びに多くの身体状況の回復に効果があったと考えられた。

引 用 文 献

1)原志免太郎.改訂灸法の医学的研究.東京.春秋社.1941.
2)今井康夫.熱及び機械的侵害刺激時における一次知覚神経末梢端の炎症反応への関与に関する薬理学的研究.阪大歯学雑誌.1990;35(1):307-320.
3)sson,C.E.et al. Release of Substance-P-like Immunoreactivity in Dog Paw Lymph after Scalding Injury. Acta Physiol Scand.1986;126:21-24.
4)Moore,T.C.et al. Substance P Increase Lymphocyte Traffic and Lymph Flow through Peripheral Lymph Nodes of Sheep. Immunology.1989;67;109-114.
5)山田鑑照ほか.ヒト合谷相当部におけるSubstance-P陽性線雜とリンパ系の関連について.全日本鍼灸学会雑誌.1994;44(2):149-154.
6)山田鑑照ほか.経穴への鍼灸刺激がリンパ管を介して免疫系を賦活する機序について.医道の日本.1994;53(12):14-21.

7)山田鑑照ほか.神経伝達物質含有知覚神経線維が引き起こす鍼灸治療臓器疾患治効機序.医道の日本.1999;58(11):31-42.



                                 






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